昨年から、深圳税務署は増値税免除・控除・還付の適用方法を今までの【購入法】から【実耗法】に変更することを検討しており、最近、当社が入手した情報では、深圳・公明鎮の税務署では管轄企業
に【実耗法】で納税申告するよう要求し始めています。
【購入法】と【実耗法】の違い
進料加工に従事する製造業は増値税負担額、いわゆる[増値税の免税不可・控除不可額]を(輸出売
上ー輸入仕入)×(17%ー還付率)で計算しています。【購入法】と【実耗法】では最終的な納税負担額に影響はないのですが、輸入仕入をカウントする時期が異なるため、
納税時期が変わります。
【購入法】が、材料購入時点で増値税計算に算入するのに対して【実耗法】は、材料を消耗する時点で算入することです。しかし、【実耗法】といっても税務署が実際の
材料消耗を確認することは難しく、現状は折衷案で対応しています。手冊遂行中は購入法で仮に計算し、手冊抹消時に手冊輸出申告された製品の数量・金額と【進料加工手冊】に記載されている員数・損
耗で算出した輸入材料の消耗量で増値税の最終清算をしています。単純に考えると【購入法】は【実耗法】より納付時期が遅いため、企業の資金繰りに有利ですが、逆に税務署側には不利になります。
【実耗法】への変更による企業への影響
①安全在庫が大きい企業は納税期が繰り上げ通関手冊を抹消する際に、出荷していない材料(余剰材料)を次の通関手冊に繰越すため、安全在庫が大きい企業は増値税の納付時
期が繰上ります。増値税の仕入材料金額から余剰材料の金額が差引かれるためです。また在庫差異が大きい企業は、実在庫がないのに通関理論在庫がある部分に対して当該架空在庫分を差引かれ
ることになります。
②通関手冊抹消時に税金負担
転廠に使用する材料は、通関手冊遂行中は輸入仕入に加算し、通関手冊抹消時に転廠売上/輸出総売上の割合で増値税の対象から外します。よって、手冊抹消時に一括で当該分[(転廠製品に使う材
料)×(17%ー還付率)]の税金を負担することになるため、原価計算の時に注意が必要です。
③低い還付率登録で納税時期が繰り上げ
一社で多種類の製品を扱い還付率も数種類あることが普通です。しかし、通関手冊を登録する際に一つの還付率しか登録できないため、最初に低い還付率を登録すると免税不可・控除不可額が大きく
なるため、納税の時期が繰上げられることになります。
◆実際の記事は、Whenever広東5月号をご覧下さい。