広東省の来料加工廠は、2003年には深圳で9千社以上、東莞では8千社以上ありましたが、11年10月にはそれぞれ約3千500社と4千社しか残っておらず、11年1月〜9月までに広東省全域では4千71社が独資企業に転換したと、政府が発表しました。 残りの来料加工廠は独資に転換するか、来料加工廠のままで運営するか、内陸へ行くか、または事業方針を調整して中国から出るか、委託加工の商社に変身するかなど、今回の最低賃金引き上げ及びその他の中国経営環境の悪化により、その経営決断が急がれています。
広東省、東莞市、深圳市の一致した発言の本音
最近、広東省、東莞市、深圳市政府のトップがそれぞれの場で「2012年までに省内の来料加工廠を法人転換することを促進する」と発表しました。促進という文言は、中国の公的な機関の発言の習慣から「2012年以後、来料加工廠の運営を全部止めさせる」と読むこともできます。 では、なぜ急いで法人化に推進させたがっているか、深圳市政府トップの発表で少しお分かりになるかと思います。 深圳市の産業発展の難題は、①産業分布が不合理、特に工業分布に「散、乱、低」の現象が存在。全市に大規模工業園区と小規模工業園区(高新区と保税区除外)が900以上、総面積150
平方キロメートル超。これらの工業園区のうち、10ヘクタール以下の規模が小さいものが74%ほどを占め、平均容積率が1.0程度しかない。また、産業用地の制約はますます厳しくなっており、深圳が世界500強企業、大型中央企業と民営企業の誘致および重大プロジェクトの立地が難しいため、多くの発展の機会を喪失した。②発展スペースが限られている以外に、今後、深圳がエネルギー危機に遭遇する可能性がある。ユニバーシアード後、深圳の電気供給不足は80万〜100万キロワット程度を維持しているが、時差方式調整で電気的負荷が170万キロワットを超えている時もあった。広東省経済と情報化委員会および南方電網の予測により、我が省は電気供給不足の問題があり、深圳の電気供給はますます厳しい状況に直面し、「十二五」(第12次五カ年計画)の省エネ、排出減少の任務を実現するのは厳しい。 簡単に言うと、深圳および広東省にある付加価値率が低い製造業に対して、必要な「土地、エネルギー等を継続的に供給できなくなりますよ」という意味となります。
来料加工廠は今後、慎重な経営決断が必要
2012年1月1日より、深圳の最低賃金が1500元以上になれば、保険、残業代等を含めて、労務コストは実質20%アップになるかもしれません。従来は5%であった離職率も、労働環境の変化により、20%強と上回っている企業もあります。高い離職率に伴い、さらに労務費が15%アップになります。 2010年に、台湾系、香港系、中国系の企業が数多く倒産。生命力が強い日系企業も、08年
以来、経営方針の検討で弊社に相談されるケースが増え続けています。来料加工廠を独資にしたあと、本当に生き残っていけるのか、多くの経営者が悩んでいます。 ここで弊社のアドバイスを申
し上げます。
①内陸への戦略移転。成都、深汕合作区など、良さそうな新拠点も積極的に検討。②商社プラス委託加工への転身。工場の自社経営から外注先委託に変更し、設計や品質管理は自社が行ない、客先対応に力さえ入れれば、経営数字が改善できるかも。③中国以外の地域へ生産移管。07年より進められてきた中国プラス1ですが、成功したところもあれば、失敗したところもあります。 では、企業様はどの選択肢を選べばいいでしょうか。正銘のアドバイスとしては、香港での経営および現地工場の経営状況に合わせて、数字で計算すること。一般論は通用しません。正しく計算するために、香港の税収、中国の増値税、所得税、その他の租税、なおかつ工場内部の事情をすべて理解することです。また、専門知識と経験も必要です。外部に委託する際には、必ずこの分野の実績を確認してから、選びましょう。