中国税務関係の法制度の中で、外国人にとって最も難しく感じるのは、やはり付加価値に相当する中国語で言われる「増値税」の事でしょう。増値税とは流通税の1つであり、物品各流通の段階で、付加価値に対してかかる付加価値税であります。
中国国内で物品の販売、加工・修理・補修役務の提供、物品を輸入する場合、増値税が適用されます。基本税率は17%ですが、穀物、食用食物油、飼料、農薬など一部の物品の税率は13%となります。増値税には、「免除、控除、還付」という方式が採用されています。一般的に納付すべき増値税額は、売上税額から仕入税額を差し引いて計算します。さらに増値税の輸出還付についてはゼロ税率ではなく、物品により還付率が17%、13%、5%、0%などと設けられています。皆様の増値税に対する理解を一層アップして頂くため、図解にて詳細をご説明します。(表1、表2)
増値税の計算方法
当期販売税額=販売金額×増値税税率(例 50万×17%=8.5万元)
当期仕入税額=仕入金額×増値税税率(例 40万×17%=6.8万元)
納付税額=当期販売税額-当期仕入税額(例 8.5-6.8=1.7万元)
B社は中国国内で加工を行ったので、増値税を納めます。C社がB社に増値税込みの58.5万元を納める形となります。ただし、会社の実務上では国内販売、輸出、転廠(てんしょう)で消耗した材料などを分類して申告するのは、極めて困難であるため、税務局は各貿易方式が売上金額に対する比率で免除、控除、還付を取り扱います。実態として、増値税が輸出製品の原価にどの程度影響を受けているかは、はっきり把握していない会社が少なくありません。増値税が企業の生産コストに与える影響を明確にしないと、適当な見積もり提出ができず、儲からない商売になってしまう可能性があるので、注意が必要です。
《実例》当期納税の算出
ある生産企業は、自社の製品の輸出販売と国内販売を行っている。05年1月に関係部材を購入し、仕入増値税は34万元、直接免税輸入材料は400万元、内販の売上は300万元、輸出製品FOB価格で500万元である。前期繰越増値税額は15万元、増値税税率は17%で、還付率は13%である。
材料、消耗品等の仕入
借:原材料など科目200万元 支払税金-増値税(仕入税額)34万元
貸:銀行預金234万元
直接保税輸入材料
借:原材料など科目400万元
貸:銀行預金400万元
製品輸出
借:売掛金(外貨)500万元
貸:主要業務収入500万元
製品内販
借:売掛金(内販)351万元
貸:主要業務収入300万元 支払税金-増値税(売上税額)51万元
月締、当月輸出製品の免除・控除・還付不可分を算出とする免除・控除・還付不可分
=(当期輸出製品FOB価格-当期輸入材料CIF価格)×レート×(増値税税率-還付率)=(500万元-400万元)×(17%-13%)=4万元
借:売上価格4万元
貸:支払税金-増値税(仕入税額)4万元
納税金額の算出
当月納税金額=売上増値税-仕入増値税=当期内販製品の売上増値税-(当期仕入増値税+前期繰越税額-当期免除・控除・還付不可分)=51万元-(34万元+25万元-4万元)=-4万元<0
※実際納付する際、当期納税額は「 - (マイナス)」になっているので、納税ではなく、次の金額で税金還付されます。
免除・控除・還付分(当月還付を受けられる最大限)
免除・控除・還付分=(当期輸出製品FOB価格-当期輸入材料CIF価格)×レート×還付率=(500万元-400万元)×13%=13万元
実際に還付する際には、免除・控除・還付分>4万元となり実際還付金額=4万元
上記の説明より、増値税の免除、控除、還付政策が大体わかっていただけたかと思います。ただし、実際納税申告当時に還付できないあるいは逆に増値税を納めるケースもあり得ます。これは、資金調達、転廠割合とタイミング、地域ごとのばらつきによるものです。