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JIMO 外商投資産業指導目録 改正について(2007)

2018-02-26
 中国に設立される中外合弁経営企業、中外合作経営企業及び外資企業等の外国企業投資案件は、『外商投資産業指導目録』に基き審査され、許可されます。2004年に施工された『外商投資産業指導目録』(以下「旧目録」と称する)がこの度約3年振りに改正され、2007年12月1日より施工されました。改訂された『外商投資産業指導目録』(以下「新目録」と称する)には幾つかの変更点がありますが、今回はこの変更点について解説いたします。
 
ア.技術の進歩及び製品の細分化から、製品毎の性能パラメーターと特性が従来より明確に定められました。ここで二つの例を挙げて解説致します。
①『旧目録』の「奨励類/第三類第二十項第5条」にある「集積回路設計とルール0.35ц以下(0.35ц含む)の大規模な集積回路生産」は『新目録』では「奨励類/第三類第二十一項第6条」に「集積  回路設計、ルール0.18ц以下0.18цm」の大規模なデジタル集積回路生産、0.8ц以下(0.8ц含む)の混合集積回路製造及びBGA、PGA、CSP、MCM等の進歩的な包装テスト」と改定されました。大規模なデジタル集積回路の製造におけるライン幅制限が「0.18цm」にアップされ、混合集積回路のライン幅が「0.8цm」以下と大幅に調整されました。
 
②『旧目録』「奨励類第三類第二十一項第1条」には、「デジタルカメラ及びその重要部品の開発、生産」と記述されています。これが『新目録』の「奨励類第二十一項第5条」では「600万画像以上の高性能デジタルDSLR(デジタル一眼レフカメラ)の製造」に改定されました。普通のデジタルカメラとその主要部品の生産は奨励されなくなり、デジタル一眼レフカメラの製造にシフトしています。
 
 
イ.低付加価値あるいは中国でも技術的に成熟し、製造能力がすでに問題ない伝統的な製造業については、奨励類から除き、制限類に入れるか或は投資を控えることになっています。例えば、『旧目録』「奨励類第三類第十七項第23条」に「園林機械、治具における新技術での設備製造」とありましたが、『新目録』では当該項目が制限の第三類第十三項第3条に移動しました。
 
 
ウ.単純な国外輸出が奨励されなくなります。『旧目録』「奨励類第十三類」に「製品を全部直接輸出とする許可類の外商投資プロジェクト」とあったのが、『新目録』では当該項目が取消されました。これは、中国政府が従来の単なる輸出による経済発展を目指す政策を転換しつつあることの表れと言えます。
 
 
エ.省エネルギー、環境保護分野が奨励類プロジェクトに追加されました。
 
オ.再生不可の重要鉱産物については、外商による採掘が許可されなくなり、資源、エネルギーの消費が高く、環境汚染に繋がりやすい投資プロジェクトは制限あるいは禁止されるようになります。
 
カ.海外のサービス下請けプロジェクト(ソフトウェア、人材資源等)が、奨励プロジェクトに追加されました。
 
キ.不動産、物件仲介、法律コンサルティング、市場調査、与信調査の外資プロジェクトに対しては、100%独資は制限あるいは禁止されます。
 
『新目録』からは、今後中央政府が外資を誘導する政策方向を窺(うかが)い知ることができます。また『新目録』実施に関連して、免税設備輸入、製品輸出還付税率、加工貿易制限類目録も調整される可能性があるので今後注意が必要です。