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JIMO 税関による加工貿易企業査察の最新動向(2007)

2018-02-26
日ごろの管理体制の強化、査察時の正しい対応で企業の正当な利益を守りましょう
 
2007年後半、税関の特別チームによる加工貿易企業査察が活発に行われました。弊社が収集した情報では、査察対象は衣料、電子部品、金属成型加工業等に従事する企業が中心であり、同一区域、同一業種の多数の企業に対し同時に査察がおこなわれた点が特徴的です。また、査察方法は企業の問題を速やかに査定、迅速に査察結論が得られ、税関の査察コストを軽減できるものになっていました。特に日系企業については税関査察への対応方法をある程度認識はしていると思いますが、実際に査察を受けるとなんらかの不手際が生じて、不必要な経済損失をこうむり、税関ランクを下げられて企業の経営上に支障がでていることがあるようです。今回は税関査察時に発生しやすい問題点を説明します。各加工貿易企業のお役に立てば幸いです。
 
 
 
査察時に起こりやすいトラブル
 
1、日常管理体制の不完備或いは生産特性の要因で、税関係員が突然に来訪時、保税扱い貨物の在庫が統計できない。こなると税関係員に実情を隠しているようなイメージを与えてしまいます。
 
2、税関に提出する保税扱い貨物の在庫データ作成時、社内で綿密なチェックを行わずミスが生じる。税関より問題が発見されると、企業は何度も修正データを提出せねばならず、社内管理が混乱します。
 
3、税関が突然来訪した場合、対応窓口がなく査察に対する協力がしっかりできない。各部署の連携がとれておらず、輸出入申告、外注加工、保税貨物管理等の問題が随所に見つかる。
 
4、税関に資料を提出してから、結果をそのまま待つのは最も危険です。問題があった場合の量刑はその程度・内容と企業の対応の両方で決まります。企業は自分なりの特殊事情をタイムリーに説明しないと、慣例にしたがって加重処罰されてしまいます。
 
 
社内管理にそれほど問題がなくとも、企業の管理層が査察の重要性を認識しておらず、対応を部下に任せきり、部下は企業の全体状況を十分に把握できないためにうまく対応ができず、先にのべたようなさまざまなトラブルが発生しているケースが散見されます。今後、税関の企業に対する査察の頻度、厳密さともに強化されると思われます。税関査察にいつでも速やかに対応できるよう、企業は内部監査制度を作り、定期的に監査を実施することをお勧めします。
 
 
正当な交渉で自社の利益を守る
 
今後、違法行為のあった企業に対する処罰が、以下の二つのやり方で強化されるようです。一つは、企業の案件調査段階での対応が不十分である場合、税関の稽査(調査)部門は、加工貿易管轄部署に当該企業の通関業務の一部或いは全部をブロックするよう指示します。最悪の場合、企業に対して保証金を積み立てられる可能性があります。
もう一つは、処罰の程度の強化です。これまでは罰金が百万元に上る案件に対しても、企業の管理ランクは落ちませんでしたが、最近は税関の企業に対するランク管理がより厳密になり、数万元の罰金でもC級に格下げされる可能性があります。目下中国の加工貿易政策、各政府機関の対応は巨大な変化の真っ只中にあります。数年前、十年前の経験に基づいて会社を運営するのは時代遅れであり、刻々と変わる中国の投資環境に基づき、戦略を変えていく必要があります。日系企業は自分に非があると思ったら一切、口をつぐむのを美徳だと思っている場合があるようですが、時には政府機関に自分なりの事情をきちんと説明し、正当な交渉をすることも自社の利益を守るのには必要なことです。