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JIMO 華南地域における香港のサブ機能(2)(2007)

2018-02-26
 
 
前回に引き続き、華南地域の日系企業にとっての香港の機能をご紹介します。
 
 
 
タックスヘイブンの活用
 
  香港の法人税は、17.5%という低税率、キャピタルゲイン非課税、香港外源泉所得(オフショア所得)非課税という特徴をもっています。この特徴を利用して、広東での来料加工や香港経由の中国投資を行えば、左記のような税務上のメリットを享受できます。
 
 
●香港を拠点とした来料加工
 
 来料加工の立上げにあたっては、加工委託者(外国企業)が加工生産に必要な設備を、中国企業に無償支給します。この無償提供資産の所有権は、外国企業に留保されますが、香港の税法では、この様な製造設備は税務上、初年度で全額・若しくは60%相当を償却することができます。(会計上は、適正な耐用年数により償却)。中国で委託加工の製品を香港外で販売した場合には、所得の50%相当をオフショア所得として非課税とすることができます。来料加工を行っている工場が、加工賃を送金する際に発生する手数料を節約するためには、正式でないルートで現金を持ち込み、帳簿上では赤字のままにしておくという方法があります。中国では企業所得税は見なし課税制度を取り入れており、香港側でも課税所得を減らすことができるので、非常に有効な節税対策といえます。
 
●香港の会社から中国へ投資
 
 香港企業が中国に会社を設立する場合、その所得が受取配当金・株式譲渡損益のみであれば、キャピタルゲイン非課税の扱いにより、香港で法人税課税は発生しません。また2008年度から、中国側の子会社が香港親会社の配当金に5%から10%を代理納付することになっています。
 
 
移転価格の中継機能
 
 香港の低税率と自由貿易港としての特性、或は政治面の資金安全などを利用し、香港にて移転価格による取引を行います。
ア、サプライヤー及び顧客との取引関係書類(オーダー、受注書、インボイス等)を作り直し、香港会社にて調整価格で関係書類(インボイス)を再発行する。
イ、原材料と製品の価格調整より、中国会社の利益を香港へ移転して、香港にて法人税を納める。
 
 
中国の外貨管制、税務上の不手際等を香港で処理
 
 コスト、或は取引先の協力が得られないために中国国内調達の部材、消耗品などについて正規の領収書を取得しない、或はできないケースが少なくありません。こうした場合の税務リスクを回避するためには、香港で記帳処理する方法があります。例えば、中国国内で設備、金型などを納品し、記帳上では各々の香港にある会社間で処理するなどです。
 
この他にも、各社のニーズにより香港親会社には様々な利用法があります。詳しくはお問い合わせ下さい。