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華南マンスリー5月号 企業登録関連書類の管理

2018-02-26
問題だらけの保管状況
 
 最近、弊社は華南地区のお客様に対し、来料加工廠から独資企業への切り替え、経営本体の移転、およびグループ会社の吸収合併等、数多くのサポートをいたしました。
これらのサポートを始めるに際しては、まずお客様の現状を把握しなければなりません。この現状の把握中に最も驚かされたことは、「来料加工廠の会社内で登録関係書類の保管が不十分」という状態が、ほとんどのお客様に共通して存在していたという事実です。この問題を皆様と共有し、日常管理のなかでさらに注意して管理していただきたいと考えております。 来料加工廠の形態の企業には、大手企業もあれば中小企業もあります。大手企業では保管責任者も決まっており、しっかりとした保管一覧表も作成して管理されていて大きな問題はありませんでしたが、一部の中小企業では本当に驚くほど管理されていない状態となっていました。 例えば、来料加工廠で一番重要な「来料加工協議書」の原本が見つからない、「補充協議」の一部が見つからない、また、環境許可関連文書、消防許可書の原文を紛失した等。
 
 
 
 
保管すべき登記関係書類
 
 まず、来料加工廠が保管すべき登記関係書類について説明させていただきます。
①来料加工協議書 
来料加工廠設立当初に、海外委託元と地元政府および発展公司の三者間で締結した契約書です。設備輸入、契約条件変更などがある場合には「補充協議」を発行します。
協議書と補充協議はどちらも同じように保管すべきです。一部の企業では、補充協議の一部をなくしたり、最初の協議書をなくしたりした問題がありました。
②営業許可書
 地方により名前は違いますが、来料加工廠の形態で経営ができる許可書類です。これについては、各社の保管状況は良好でした。
③環境評価文書、消防評価文書
 環境評価は会社全体のものもあれば、建物別で作成したり、変更版を申請したものもあります。これらもよく紛失する書類で、最新版が見つからないケースがよくありました。消防局の定期監査合格書が見つからないこともよくあります。
④税務登記証および税務局より発行された会社の見なし課税納税率認定資料、税務登記証 
  税務登記証が見つからないことはほとんどありませんでしたが、見なし課税納税率認定資料、税務登記証が見つからない会社が多々ありました。
 
 
 
書類紛失の主な原因
 
 重要書類が見つからなかったり、紛失したりすることにより、お客様が実施しようとする手続きが大きく遅れることになり、経費、時間の無駄になります。 先に挙げた問題の原因は、以下のようなものであると分析します。
①通関士がよく使う書類であるため、通常は通関士の所で保管されていますが、通関士が会社を辞めるときにきちんとした引き継ぎができていないなどの理由により紛失した。
②社内の総務、人事、通関等など、関連部署でそれぞれが保管し、部署間での引き渡しの管理をしていなかったなどの要因で、所在が分からなくなっていた。
③会社の管理者が交替するときに社内管理についての引き継ぎ作業をしなければなりませんが、会社の重要書類の管理について、新任管理者に管理規定の説明をしていなかったか、説明してあったけれど、新任管理者がその管理規定を実施していなかった。
 
 
 
書類の管理はしっかりと
 
 数年前のことになりますが、私はある来料加工廠の工場で、通関士がすべての登記書類の原本を自分のカバンの中に入れて、日常的に外に持ち出しているのを見たことがあります。また、自社で保管する責任があるのか、村・鎮の外貿公司で保管すべきか分かっていない管理者もいます。 ここでの内容を読者の皆様に読んでいただき、社内に保管台帳を作り、書類の授受、仕事の引き継ぎ等をきちんと管理するよう注意していただければ幸いと存じます。