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華南マンスリー7月号 設備売却によるトラブル

2018-02-26
中古設備の売却をめぐり、税務局と見解の相違が
 
 来料加工廠から独資への切り替えに際し、来料加工廠にある中古設備を独資に販売するケースが多くあります。5年以内の設備は税関の転廠手続きにより現物出資となりますが、5年以上の設備についても現物出資を認めています。ただし、会社によっては資本金をあまり大きくしたくないところもあり、その場合は中古設備を売却する方法を取ります。
 この中古設備の売却について、最近、ある企業(以後A社と言います)と税務局の間で見解の相違が生じ、約20万元の税金を納付するか否かという問題が発生、中古設備の販売が一時的に中止されるということが起こりました。
 A社と税務局はそれぞれ何を基準に判断し、このような見解の相違を引き起こしたのでしょうか。今回は、中古設備売却に関連する政策を解説し、皆様に少しでも中国のビジネス環境の特徴を理解していただければと思います。
 
 
増値税の徴収範囲外なら、免税で移管できる?
 
 《中華人民共和国増値税暫行条例》に、増値税の徴収範囲は物品の売買、加工、修理、組み立て、役務の提供、および物品の輸入となっています。来料加工廠から独資に切り替える場合、企業は「来料加工企業が生産停止せず、同じ敷地内で独資企業へ転換」の優遇策を受けられ、その条件は来料加工廠の資産、債権債務、労働者を一括で独資に移管するとなっています。
 この移管方法は単純な資産売却とは異なり、「深国税函〈2010〉97号」と東外経貿〔2009〕108号により、増値税の徴収範囲から外されています。そして、この深圳と東莞の公布文には、国家税務局が発行した「国税函(2002)420号」の規定が適用されると書かれています。
 この規則を利用すれば、企業は納税なしで移管できますが、独資企業が固定資産を所有したときに記帳できる「発票」がないため、固定資産償却が認められるか否か、いまだ明確にされていません。固定資産金額が大きいA社においては、このような移管方法には大きなリスクがあります。
 
 
4%の徴収率を半減して、固定資産の売却が可能?
 
 先ほど申し上げたとおり、A社は免税での移管を進めたくないので、売却という形で独資に移管する場合、増値税はどのように徴収されるのか? ここにA社は鎮の税務局と大きな見解の相違がありました。
 A社はすでに一般納税人として認定され、今回売却しようとする設備はすべて2008年12月31日以前に輸入した無償設備です。ここで二つの考え方ができます。物品売買とすれば、増値税の徴収率は17%となり、徴収された増値税は仕入れ税として控除、還付ができます。
 もう一つは国家税務局が公布した、「財税〔2009〕9号」の二の(一)によるもので、納税人は自社に使用した固定資産を売却する際には、増値税の徴収は徴収率の4%に半減し、徴収するというものです。ただし、徴収された増値税は仕入れ税として控除できません。実質2%の税率になります。
 A社は後者を選びました。しかしながら、鎮税務局より申請を却下されてしまいました。
 
 
 
なぜ却下?
 
 税務局の理由:自社で使用した固定資産の定義は、「自社で固定資産として計上し、償却した固定資産」に対しては「財税〔2008〕170号」により明確にされた規定があるため、増値税の4%の半減で処理することはできない。来料加工廠は無償提供設備を固定資産に計上しており、減価償却はしていないはず。
 A社の理由:2010年4月20日に深圳国家税務局より公布され、「深国税函〔2010〕97号」の二により、来料加工廠を独資に切り替える際には、2008年12月31日以前に輸入した設備に対し、4%の徴収率の半減で徴収すると明確化されたし、個人名義で深圳国家税務局に問い合わせたところ、A社と同じ意見を示した。
 鎮税務局とA社はいまだ合意に至っておらず、市国税局とA社の意見も食い違っています。いかにすれば良いか、まだいろいろと模索しているところです。さすがに私たちコンサルタントとしても、難しい問題だと感じています。