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華南マンスリー10月号 労使問題は弁護士にお任せを

2018-02-27
アウトソーシングにより経済補償金問題が発生
 
 最近いただいた、ある会社からのご相談です。その会社の食堂はこれまで自社で管理していたのですが、運営が思うようにはいかなかったため、独立させることを考えました。アウトソーシング先は、自社の総務部の方個人が集めたスタッフにすることにしました。
 この方針で順調に話を進め、条件、契約などすべて終了したのち、食堂のスタッフ約15名を他の部署に移籍させようとしました。しかし、全員から断わられ、彼らは会社を辞めることになってしまいました。その会社は、ここで初めて「経済補償金」が発生することに気づきました。
 
 
 
経済補償金は2か月分と人事担当者は言うが…
 
 ところで、「経済補償金」は勤務年数をもとに計算しますが、1年の勤務年数に対し1か月分の経済補償金を払うべきでしょうか? それとも2か月分を払うべきでしょうか? 社内の人事担当の方の計算によると、1年の勤務年数に対し2か月分の経済補償金を払うことになっているとのことでした。会社の管理者が何度確認をしても、2か月分だと人事担当の方は言ったそうです。
 しかし、他から得た情報によると、やはり1か月分の補償金で済むことに間違いない。管理者の方はこのとき、どのように対処すればいいか非常に困りました。
 
 
 
問題対処にあたってスタッフと会社の板挟み
 
 毎日一緒に仕事をしている部下に「会社を辞めていくスタッフとは同じ利益を有する社員であるから、食堂のアウトソーシングに際し、経済補償金が発生する可能性のリスクを管理者にわざと提示せず、経済補償金を計算する際には、辞めていく社員の有利になるようにした」とは思いたくない。
 また、人事担当者の見解を全面的に否定すると、総経理は法律に違反し、社員の利益を守ってくれないと部下が思ってしまうかもしれず、お互いに感情的な問題が生じ、日常の仕事に影響が出るのではないか。管理者の方は、この問題で頭をかかえました。
 このように、労使間で対立することがある場合、管理者は本来であれば会社の利益を守る立場ですが、毎日一緒に仕事をしているスタッフたちは自分の仲間でもあります。ローカルスタッフの誰かに、会社のために鬼になってもらい、他の社員の意見を押さえつけてもらおうと考えるのも甘すぎます。
 
 
 
ローカルスタッフに労使問題を任せると
 
 これまで、私どもがよく見てきた悩みです。労使問題をローカルスタッフに任せると、法律で定められている以上の賠償金の発生をもたらしたり、賠償金の額に不満を持ったローカルスタッフがストライキを起動させる立場になってしまうケースはよく見られます。
 また、会社が撤退する場合、あるいは吸収合併する際のもっと小さい事例(会社撤退や吸収合併は小さい事柄ではない)を例にとると、高温手当てや住宅積立金をどうするかということに関し、毎日一緒に仕事をしている仲間という感情以外でも、自分の味方になっている人、また、その人の味方になっている人に対する同情等により、規則を守ることと仲間を守ることとの狭間で選択は難しく、たとえ総経理といえども、なかなか決断できないことがあるのではないでしょうか。
 人間は複雑な生き物です、人間の感情を簡単に理解しようとしても難しい。では、このような問題が発生した際、どのようにすればいいのでしょうか。
 
 
 
これからも労使関係を良好なものにするために
 
 結論は非常に簡単です。現在は、労使問題は弁護士に任せる時代です。弁護士に仲介してもらうことにより、お互いにとって公平な方策が見つかり、お互いに納得し、今までどおり仲良く仕事ができる確率が、社内で処理するより高くなるでしょう。
 毎日、仲間意識を持って一緒に仕事をできることは、お金では買えない重要なことです。なので、感情だけで判断せず、労使互いに納得してコトを収めるためにも、弁護士に任せることがもっとも適切な判断なのです。